2006年の通常国会で成立した法律 (福祉関連)
所管等 主な法律名 ポイント 掲載
1 厚生労働省 改正男女雇用機会均等法


(2007年12月12日に追記)
「男女雇用機会均等対策基本方針の概要(2007年度〜2011年度 )」(2007年11月30日制定)
→〇「基本方針の労働政策審議会からの答申」
(1)差別禁止の対象を女性だけでなく,男女双方とする規定に強化した。
(2)表面的には性別に無関係だが,結果的に採用や昇進の男女差別につながる処遇(@身長,体重,体力を募集・採用の要件にする,A全国転勤を総合職の募集・採用の要件にする,3転勤経験を昇進の要件にする,の3つのケースについて,要件に合理性が認められない場合は差別とみなし,性別以外の要件が実質的な性差別につながる,いわゆる「間接差別」)の禁止について定めた。
(3)禁止される通常の性差別の対象も,「募集」「採用」「昇進」などから「降格」「雇用形態・職種の変更」「退職勧奨」などに拡大した。

(4)附則で「法施行5年後見直し」が規定がされた
(5)2007年4月1日施行
→■リーフレット /パンフレット
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2 厚生労働省 医療制度改革関連法
→■第164回国会(常会)提出法律案
→■参議院付帯決議(21項目)

→■2006年の「医療制度改革」
・関連法は,健康保険法および医療法の改正からなり,医療費抑制に向けて(A)利用者負担の見直し,(B)制度改革を柱とする。
(A)利用者負担の見直し
(1)2006年10月〜:@現役世代並みの所得を有する70歳以上の窓口負担を2割から3割に引き上げる。A70歳以上の長期入院者の食事・居住費などのホテルコストを自己負担とする。B高額療養費制度の自己負担限度額を引き上げる。C少子化対策として,出産育児一時金を35万円に増額する(現行30万円)。
(2)2007年4月〜:出産手当金を増額(賃金6割相当からボーナス分を反映した賃金2/3相当へ)する。
(3)2008年4月〜:@一般的所得の70歳〜74歳の窓口負担を1割から2割に引き上げる。A乳幼児j医療費の自己負担割合が2割となる対象を未就学児(6歳程度,現行は3歳未満)まで拡大する。
(B)制度改革
(1)2008年4月〜「新たな高齢者医療制度の創設」:@2008年度に75歳以上の高齢者と65歳以上74歳までを対象とした「後期高齢者医療制度」を創設する(各都道府県の全市町村で構成する広域連合が運営する。対象者の医療費は,a)75歳以上の全高齢者から徴収する保険料,b)国や自治体の公費,c)健康保険組合からの支援金,で賄う)。A都道府県に医療費適正化計画の策定を義務づける。
(2)2008年10月:@政府管掌健康保険の財政運営を都道府県単位にする。
(2)2012年4月〜@介護療養型医療施設を2012年度に廃止する(社会的入院を解消するため,療養病床の介護保険適用について,老人保健施設などへの転用を進める),A医療保険適用分も15万床に減少させる(現行は25万床)。
・付帯決議(21項目)がなされている

→■平成18年度医療制度改革関連資料
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3 厚生労働省 改正職業能力開発促進法,改正中小企業労働力確保法
→■第164回国会(常会)提出法律案
・OJTと座学を組み合わせた「実習併用職業訓練」の実施企業を支援する制度の創設,円滑な技能継承の促進に向けた対策などが定められた。 6/17
4 国土交通省 「高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー新法)
→■バリアフリー新法の概要
→■「高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」


(国土交通省)
バリアフリー・ユニバーサルデザイン
・2000年施行の「交通バリアフリー法」(鉄道事業者などに公共交通機関の旅客施設と車両の構造や設備のバリアフリー化,地方自治体に駅周辺500m〜1km以内におけるバリアフリー化の義務化)と1994年施行の「ハートビル法」(高齢者や身体障害者等が円滑に利用できる建築物の建築の促進を図ることを目的とし,2003年4月1日には一定要件施設のバリアフリーを義務づけるよう改正)を,一本化したもので,ねらいは建築物と駅などの旅客施設をつなぐ経路を含めた地域全体のバリアフリー化である。
・新法は,交通バリアフリー法が基本となり,今まで対象外であった道路,路外駐車場,都市公園の新設等のバリアフリー化を義務化するなどが定められた。さらに,バリアフリー化の対象施設の追加だけでなく,高齢者や障害者などが生活上利用する施設を含む一定の地区につき,市町村が基本構想を作成し,重点整備できるようになった。基本構想策定時には,市町村,事業者だけでなく,高齢者や障害者等により構成される協議会の発足を法制化し,住民などが基本構想の作成を提案できる制度も創設した。
→■バリアフリー・ユニバーサルデザイン(国土交通省)
「ユニバーサルデザイン政策大綱」
→■福祉車両の関連情報
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5 国土交通省 改正道路運送法
福祉車両の関連情報

・自動車交通における利便性及び安全性の向上を図るため,自家用自動車による有償旅客運送制度の創設,乗合旅客の運送に係る規制の適正化などを規定した。
・NPOが移動制約者を対象に行う福祉有償運送の登録制については,「有償性の判断基準,運送の対価の範囲などを今後「省令」で定め,2006年10月1日施行の予定である。


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6 厚生労働省・文部科学省 「就学前の子どもに関する教育・保育等の総合的な提供の推進に関する法律」(新法)・・・「認定子ども園」
→■第164回国会(常会)提出法律案

→■認定子ども園(文部科学省幼保連携推進室HP)
・両省の指針に基づき,2006年10月から施行される。
・保育・教育・子育て支援を一体的に提供する「認定子ども園制度」を創設する。
・保育・教育・子育て支援の各機能を総合的に備えた保育園や幼稚園を,各都道府県が条例で定める基準により認定する制度である。
・ねらいは,都市部の待機児童(約23000人)を定員割れの進む幼稚園で受け入れることである。
・さらに,保育所の保護者の就労による利用制限をなくし,0〜2歳児の子育てをする家庭の母親への子育て支援をする。
・施設は,運営主体により4類型とする(@幼保連携型,A幼稚園型,B保育所型,C地方裁量型(認可外施設))。
・両省は@の推進策として,認可の定員10人に緩和,施設整備費・運営費は双方の補助制度から助成する。
・利用者と施設の直接契約とし,定員越えは施設が選考する。
・母子家庭・児童虐待などの家庭には優先入所の配慮がなされる。
・利用料は,施設ごとに決定し,市町村への届け出が義務化される(市町村の改善命令が可能)。
・付帯決議(12項目)がなされている。

→■総合施設モデル事業評価委員会による「最終まとめ」について(2006.3.31)
→■2006年6月28日「就学前の子どもに関する教育・保育等の総合的提供の推進に関する法律」に関する課長会議資料法律,認定基準に関する国の指針案)

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7 議員立法 「がん対策基本法」(新法)

(2007年6月追記)
→○「がん対策指針アクションプラン2005」
→○「がん対策推進基本計画の策定について」(2007年6月15日)
・国にがん対策を推進する基本計画の策定の義務付けなどを柱とする。
・国と都道府県に「がん対策推進基本計画」を策定するよう規定し,「がん対策推進協議会」(がん患者やその家族,医療関係者らで作る)を厚生労働省に設置し,協議会の意見を基本計画に反映させるしくみも盛り込まれた。
・基本理念に「がん研究の推進」「居住地域にかかわらず適切な医療が受けられる体制の整備」「患者本人の意向を尊重した医療提供」などを明記した。
・具体的な施策として,国と自治体に,@がん予防に関する啓発活動,Aがん検診にかかわる医療関係者の研修などによる検診の質の向上,Bがん専門医の育成,C緩和ケアなどがん患者の療養生活の質の向上,D患者,家族への相談支援,などを義務付けている。

・残された課題の一つには,個人情報保護の観点から,制度化が見送られた「がん登録制度」がある。
・2007年4月1日施行
・なお,厚生労働省6月公表の人口動態統計では,2005年の国内のがん死者は32万5885人であった。3人に1人が,がんで死亡している状況で,発症者は年間60万人,患者数は300万人と推計されている。
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8 議員立法 「自殺対策基本法」(新法)


(2007年6月追記)
→○自殺総合対策大綱(2007年6月8日)
大綱は,社会的な取組により自殺は防ぐことができるということを明確に打ち出すとともに,うつ病対策と併せ,働き方を見直したり,何度でも再チャレンジできる社会を創り上げて行くなど,社会的要因も踏まえ,総合的に取り組むこととしている
・内閣府に自殺総合対策会議を設置し,自殺防止と自殺者の家族の支援を進める。
・政府は自殺対策の大綱を定め,実施した対策については,毎年,国会へ報告することが義務づけられる。
・基本理念として自殺対策は「国,自治体,医療機関,事業主,学校,民間団体など関係機関で相互に連携して実施しなければならない」と明記し,国を挙げて総合的に取り組むとしている。
・具体的な施策は,@自殺防止の調査研究を推進し,情報の整理,提供を行う,A教育,広報活動を通じて,自殺防止への国民の理解を深める,B職場や学校,地域で心の健康を守るため,体制を整備する,C自殺の恐れがある人に必要な医療が適切に提供されるようにする,D自殺する危険性が高い人を早期に発見し,自殺の発生を回避するための体制を作る,E自殺未遂者が再び自殺を図ることがないよう支援する,F自殺者(未遂も含む)の遺族の心のケアを行う,などである。
・なお,自殺者は8年連続で3万人台を記録している。

→■自殺対策基本法について(2006年6月26日障害保健福祉関係主管課長会議資料)
6/22
9 議員立法 「精神病院の用語の整理等のための関係法律の一部を改正する法律」
・(「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改正」)
・精神科医療機関に対する国民の理解を深めるとともに,精神科を受診しやすい環境を醸成するために,精神保健福祉法等の「精神病院」という用語を「精神科病院」に改める。
・公布の日から6か月経過した日から施行

→■12/23施行の告示
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10 文部科学省 改正学校教育法 ・障害児に対する「特殊教育」を「特別支援教育」に転換する。
・盲・ろう・養護学校の区別をなくし,「特別支援学校」をする(別々の学校制度と教員制度を一本化)。特別支援学校は,地域の特別支援教育センターとしての機能を位置づけ,小・中・高校におけるLD,,ADHDなどのある生徒に対する必要な支援を規定した。
・2007年4月から施行

→■特別支援教育を推進するための制度の在り方について(中央教育審議会答申)
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164回通常国会(常会)に政府から提出された法律案
164回通常国会(常会)に厚生労働省から提出された法律案

6/16衆議院議院運営委員会において,重要法案であった教育基本法「改正」法案と
少年法「改正」法案が継続審議として決定された。
→2006年秋の臨時国会へ

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